過去データから見るセルインメイの真偽
日経平均の月別変動に引き続き、ダウ工業株30種平均について月別の変動。そしてセルインメイの真偽について考えてみました。
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セルインメイ(sell in may)の意味と理由
そもそもセルインメイの意味はどのようなものかというと。セルインメイには続きの言葉があり、正確には「Sell in May, and go away.」になりその訳は「五月に売って立ち去れ。」です。イギリスでは「Sell in May, and go away;don't come back until St Leger day.」となり、「セントレジャーデーまで戻ってくるな」という意味が追加されます。セントレジャーデートは9月第二土曜日のイギリスの競馬最終日になります。
多くの方が、「株は5月に暴落するので売ってしまえ」と思われていますが、本当の意味は「株は5月以降はパフォーマンスが悪く株価が上昇しにくいので、夏は株を持つな。そして秋以降に再度購入する」という意味なのです。
5月から秋までの相場のパフォーマンスが悪いのは次のような理由があると言われています。
- ヘッジワンドの決算が5月に集中
- 夏は欧米は夏季休暇を取る人が多く市場参加者が減少し相場が閑散とする
- 年初以来の上昇相場が一服する
などがあげられています。とにかくセルインメイが5月に暴落するという意味ではないことを頭に置いて取引を行いましょう。
過去のデータから買い時を考える
14年分毎年の変動
2002〜2015年まで14年分のダウ平均株価の月次データを整理すると、次のグラフ1となります。
このデータから唯一わかることといえば、日経平均同様に2008年9月10月のリーマンショック時の下落はやっぱりすごいということです。
また、なんとなく年初より年末のほうが高いのかなというトレンドも見えてきました。
(グラフ1:14年分のダウ工業平均の年間変動)
14年分の平均値による変動
グラフ1を平均化するとグラフ2となります。
やはり、年末に向けて株価が高くなっていました。
12月から1月への連続性にかけますが、そもそもの幅が600ドルと全体の5%程度に収まっており問題にならない範囲と言えそうです。
(グラフ2:14年間の月次データの平均値による変動)
月別の騰落率を整理
2002〜2015年の月間騰落率を整理すると次のようなグラフとなります。
(グラフ3:2002〜2015年の月間騰落率)
さらに上記から特異年と言ってもおかしくない2008年を除外すると、次のようなグラフとなりました。
日経平均と異なるのは、7月が健闘していることです、また12月はクリスマス休暇があるためか、日経平均とは異なり11月より成績が悪くなっています。
(グラフ4:グラフ3から2008年を除いた月間騰落率)
過去のセルインメイ的中率
2002年から2016年の15カ年で4月末の株価と8月末の株価を比べたところ、8月末のほうが安くなったのは8回とかろうじて半分を超える程度でした。
西暦 |
株価 (8月末/4月末) |
セルインメイ 成立 |
---|---|---|
2002 | -12.9% | ○ |
2003 | 11.0% | |
2004 | -0.5% | ○ |
2005 | 2.8% | |
2006 | 0.1% | |
2007 | 2.2% | |
2008 | -10.0% | ○ |
2009 | 16.3% | |
2010 | -9.0% | ○ |
2011 | -9.3% | ○ |
2012 | -0.9% | ○ |
2013 | -0.2% | ○ |
2014 | 3.1% | |
2015 | -7.4% | ○ |
2016 | 3.5% |
まとめ
平均値でダウ工業株30種平均を整理したグラフ2、月間騰落率のグラフ3、4からわかることとしては
- セルインメイは傾向としては正しいが発生確率は約半分
- 2月から4月、9月から12月は上昇相場が続きやすい
つまり、月変動だけを考慮すると
- 9月末に購入し12月末に売却
- 2月初めに購入し4月末に売却
という投資で利益を上げることができることとなります。日経平均の際にも書きましたが、実際には毎年このとおり行く話ではないので、あくまで仮定の話とはなりますが、投資の参考になればとおもいます。
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日経平均の月別変動からみる日本株の買い時売り時