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投資信託における為替ヘッジの必要性

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為替ヘッジとは

 投資におけるリスクの一つに「為替リスク」があります。投資信託や上場投信ETFを通じ、海外の株式や債券などに投資する場合、米ドル建てなどの外貨建て資産へ投資して運用収益を獲得することを目指します。

 この外貨建ての投資行動においては、売却時に円建てで考えた場合に円高といった為替の変動により、利益が減少したり、損失が発生することがあります。

 このような事態を避けるために、為替の変動によるリスクを回避するために為替ヘッジを行います。

 為替ヘッジを行うために、ファンドマネージャーは外貨建での投資と同時に、あらかじめ決まった為替レートで外貨と円貨を交換する契約を結びます。

 

 例としては、アメリカに投資する場合、1ドル=100円の時に購入した資産の為替ヘッジを行うために、1ヵ月後でも1ドル=100円でドルを売る契約を結びます。

 これにより一ヵ月後に円高となり1ドル=80円になった場合であっても、投資した資産に為替による損失は生じませんが、円安の場合には、為替による利益が得られないということになります。

 

 また後述しますが、為替ヘッジには費用が発生するため、ファンドの利回りが5%あったとしても、ヘッジ手数料が1%必要であれば、ファンドの利回りは4%となります。

 

 私は海外投資は為替ヘッジなしが基本だと思っていますが、低金利でほとんど利益が期待できなくなった日本の国債の代わりに運用しているため、海外債券は為替ヘッジありを選んでいます。

 

為替ヘッジのメリットデメリット

 為替ヘッジのメリットデメリットについて、さらに具体的に掘り下げていきたいと思います。

リスク軽減

 為替ヘッジありのファンドを選ぶ最大のメリットはリスクの軽減です。下のグラフは2003年から2016年までの為替ヘッジによるリスク軽減を示しています。

 新興国債券はリターン6.6%・リスク14.0%が為替ヘッジにより、リターンが6.9%・リスクが9.1%となっています。

 先進国債券はリターン4.1%・リスク9.6%が為替ヘッジにより、リターンが2.6%・リスクが3.7%となっています。

 

 通常はヘッジに必要な費用により、運用結果はヘッジなしに比べて悪化しますが、新興国債券に限ってはリターンが上昇するほど為替の影響が大きくなっています。

 一番左下の薄緑のマルは日本の国債になります。先進国債券ヘッジありは日本の国債並みにリスクが小さくリターンが少し大きくなるという運用結果が出ています。

 

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ヘッジ手数料

 

 為替ヘッジは、現在1ドル100円のものを1月後も100円でお願いしますと予約する行為ですが、当然費用が発生します。

 一般的には、日本の投資家がアメリカに投資するために為替ヘッジを行う場合、円の金利がドルの金利より低いので、その差がヘッジコストとなります。

 

 為替ヘッジコスト=米ドルの短期金利ー円の短期金利 

 

 今後アメリカが利上げを順次行いますが、その上昇幅も速度も小さいため、日米の金利差は当面の間は90年代のように金利差が5%になるようなことはなく、ヘッジコストは低水準で推移するおもわれます。

 

 

為替ヘッジが必要な時と不要な時

1.ボートフォリオ全体のリスクを下げたい場合

 ポートフォリオ(アセットアロケーション)を設定する場合、わが国の国債の割合をあげることで全体のリスクが下がりますが、リターンも下がります。

 リターンもある程度維持しながら、リスクも下げたい場合には、外国債券に為替ヘッジありを選択することも有効です。

 世界的な不況時には、信用力の高い円に世界の資金がシフトするので、ダブルパンチとなることを避けられます。またその際にリバランスを行うこともできますので、資産全体の回復への資金として利用できます。

 

 ただし、注意しなければならないのは、ヘッジコストが発生するため、単独で見た場合長期になるほど利回りが悪いことです。

 

2.円安の局面

 2つ目は今後確実に円高が起こるだろうという局面です。逆に円高の場合は為替ヘッジなしを選択しておくことで、将来的に円安となった際に、為替変動による利益を享受できます。

 2017年1月は1ドル=116円前後ですが、今後円安となるか円高となるかは誰にもわかりません。

 アメリカが利上げするから円安だ!と力説する方もいますが、過去にアメリカが利上げを行った局面において必ず円安となっているならそうですが、実際はそうではありません。

 為替ヘッジを選ぶか選ばないかを、その時点での為替レートから考える場合、実質実効為替レートから考える必要があります。

 

(図 ドル円実質実効為替レート)

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 ドル円は現在実質実効レートベースでは円安に振れており、過去の平均値から20%の乖離が発生しています。アメリカが利上げだからと言って単純に円安に振れる状況ではないと言えます。

 

 私は平均値から15%以上円安の場合、債券について為替ヘッジありで良いと思っています。もし15%円高になったら為替ヘッジありの資産は為替ヘッジなしにスイッチしようと考えています。

  

 しかし、新興国の成長や決済通貨の多様化により、円の強さは1995年をピークに下落しており、今後徐々に実質実効為替レートベースでは、円安になるとも言われています。このことも考慮した運用を心がける必要がありそうです。

 

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