今回の勧告のポイント
2016年の人事院勧告は3年連続で月例給(基本給)・ボーナスともに引き上げる内容となっています。
今後民間企業に影響がありそうなものとしては扶養手当の見直しがありました。その詳細については一度記事にしていますのでそちらをご覧ください。
3年連続での引き上げになりましたが、2015年に行われた「給与制度の総合的見直し」による平均2%の俸給表の引き下げの影響を受ける人はまだ残るそうです。
(1)民間給与との比較による月例給の改定
民間給与との較差は708円(0.17%)となっており、この格差を解消するため、俸給表(給料表)について、1給の初任給については、1,500円引き上げ、若年層についても同程度改定し、その他は400円の引き上げを基本に改定となりました。
霞が関で働くエリートたちのための本府省業務調整手当については、支給割合が2016年4月に遡って引き上げられるとになっています。
これらの改定の結果、民間との較差708円は俸給方の改定が448円、本府省業務調整手当が206円、その他54円で解消されることになります。キャリアの公務員さんはただでは転ばないようです。
(2)給与制度の総合的見直しの影響は解消せず
2015年5月からの「給与制度の総合的見直し」における俸給表水準の平均2%の日記載げにより、半数近くの国家公務員が現給補償を受けており、毎年の昇給がない状態となっています。
今回の勧告を加味した結果引き続き現給補償を受けるのは、行政職4級から6級に限っていうと、4級50号以上、5級40号以上、6級40号以上となり中高年を中心に多くの人が引き続き現給補償となるようです。
(3)ボーナス
民間のボーナスにあたる特別給は、民間の支給割合が4.32月であったため、0.1月が勤勉手当に当たる勤勉手当に配分され現行4.20月が4.30月となります。
(期末手当2.60月、勤勉手当1.70月)
(4)扶養手当の見直し
配偶者にかかる手当額が6,500円まで減額され、それにより生じる原資により、子供にかかる手当額が10,000円まで引き上げられます。
配偶者にかかる減額は2017年から段階的に実施となっています。
これらの見直しにより、配偶者に収入があり扶養手当を受給していない場合で子供がいる場合などでプラス支給となります。
どういったケースでプラスになるかマイナスになるかはの試算は下の記事を参照してください。
(5)介護休暇の分割・介護時間の新設
要介護状態ごとに年3回以下、かつ、合計6ヶ月以下の範囲内で介護休暇の分割取得が可能に。また、連続する3年以下で1日につき2時間以内で、勤務しない「介護時間」を新設。対象も祖父母、孫及び兄弟姉妹の同居要件が撤廃されました。
さらに、介護休暇・介護時間・育児休業等を取得した場合でも、昇給勤勉手当において直ちに不利にならない取り扱いとなるなど少子高齢化を反映した内容となっています。
まとめ
- 月例給・ボーナスとも3年連続の引き上げ勧告となり、若年層に重点を置きつつも幅広い俸給方の引き上げを行った。しかし、俸給表への反映は448円であり、現給補償期間の対象職員が多く、プラス改定はの影響は全職員が恩恵を受けるものではなく、霞が関で勤務する本府省業務調整手当を受給する職員には206円の上乗せがある。
- 扶養手当については、政府の要請に応え、一億総活躍社会を先取りした、配偶者への手当額削減となった。一方で子供にかかる手当は増額されており子供がいる家庭には手厚い内容となっている。
- 2015年に比べて引き上げ幅は縮小しており、人事院勧告のベースとなる民間給与のベースアップが減少していることがわかり、アベノミクスの経済への波及効果が剥離してきている。