18年10月の結果を振り返ります。10月はリスク資産は国内株、海外株を中心に暴落と言っていい結果でした。9月が好調だっただけに焦って売却した方もいるのではないでしょうか。
特にここ数年投資を始めた人は、自分の投資ルールに反して狼狽売りと言われる行動をとった人もいらっしゃるのではないでしょうか?
私もイギリスのEU離脱が決まった時は一瞬ですが狼狽売りをしました。しかし、すぐに
「世界の政治や経済のシステムが吸収・回避できる事象は長期的にはさほどのリスクではない」
ということ思い出し、すぐ買い戻しました。その時の行動が次の記事です。
今回は10月の株価下落が大したものではないことを、ダウ工業平均、S&P500、日経平均の各指数を使ってまとめてみました。なお、ダウ工業平均と、S&P500はドルベースのプライスリターンを採用しています。
10月の下落率は何ヶ月に一回発生するのか
10月の投資環境
10月は主に3つの要因により株価が下落しました。
- 米中貿易摩擦への懸念
- サウジによる記者暗殺による中東情勢への懸念
- 米国金利上昇への懸念
この結果、9月末と比較し、10月末の主な株価指数は
- ダウ工業平均=−5.07%
- S&P500指数=−6.94%
- 日経平均株価=−9.12%
と大きく下落しました。
直近で大きく下落したのはいつか
直近でこれだけ下げたのがいつだったかを調べました。
ダウがこれだけ大きく下げたのは直近では、2016年1月のー5.50%です。このときは世界経済の減速と原油価格の下落から株価が下落した月でした。
SP500指数は、2011年9月以来の下落です。7年ぶりとなります。7年間大きな下落がなく堅調な推移だったということになります。なお、この下落は欧州債務問題による下落でした。
日経平均は、2016年6月以来の下落幅です。イギリスのEU離脱を決める国民投票が実施され急激な円高となりました。海外株式はすぐに回復しましたが、日経平均は為替の影響で大きく下落しました。
各指数のリターンとリスクは?
各指数の下落率を評価するために、過去20年(1998/10〜2018/10)について、リターンとリスク次の記事で紹介した方法で計算しました。
結果は次の表のとおりです。ダウやSP500はリターンが大きくリスクも15%を下回っていますが、日経平均株価はリターンが小さくリスクも大きい結果となりました。
各指数のリターンとリスク | 月率 | 年率 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
ダウ工業平均 | リターン | 0.448% | 5.51% | |||
リスク | 4.06% | 14.1% | ||||
S&P 500指数 | リターン | 0.377% | 4.62% | |||
リスク | 4.17% | 14.4% | ||||
日経平均株価 | リターン | 0.200% | 2.43% | |||
リスク | 5.50% | 19.0% |
10月の下落の正規確率は?
各指数の10月の変動がどのような規模だったかを計算します。各指数は正規分布に従うと仮定します。
S&P500が正規分布に従うことは次の記事で紹介しています。
(|10月の下落率ー月率リターン|)/(標準偏差(月率リスク)) で期待値であるリターンから標準偏差の何倍離れているかを計算し、その結果を標準正規分布表に当てはめて今回の下落が統計上どれくらいの確率で発生するかを求めます。
ダウ工業平均
(0.45+5.07)/4.06=1.36σ
1.36σ以下になる確率は正規分布表より、8.7%
つまり、1/0.087=11.5(ヶ月)となるので、約1年(12ヶ月)に一度は5.07%をこえる下落が発生することとなります。
S&P500指数
(0.38+6.94)/4.17=1.76σ
1.76σ以下になる確率は正規分布表より、3.9%
つまり、1/0.039=25.6(ヶ月)となるので、約2年(24ヶ月)に一度は6.94%をこえる下落が発生していることになります。
日経平均株価
(0.20+9.12)/5.50=1.69σ
1.69σ以下になる確率は正規分布表より、4.6%
つまり、1/0.046=21.7(ヶ月)となるので、2年(約24ヶ月)より少ない頻度で、9.12%をこえる下落が発生していることになります。
10月の下落まとめ
過去20年間のデータによる10月の下落はだいたい1年から2年に1度は発生していることとなります。
インデックス投資を行なっている人は20年30年それ以上の期間運用を行なうことになるので、これくらいの下落は何十回と経験すると考えて割り切ることが必要と言えます。
18年10月の下落率 |
発生確率 | ||
---|---|---|---|
ダウ工業平均 | -5.07% | 8.70% | 11.5ヶ月に1度発生 |
S&P500指数 | -6.94% | 3.90% | 25.6ヶ月に1度発生 |
日経平均株価 | ー9.12% | 4.60% | 21.7ヶ月に1度発生 |
(過去20年のデータに基づく発生確率)
今後リーマン級の下落につながるか
個人的な見解ですが、現在のリスクは現在の政治システムと経済により十分吸収可能であり、米国をはじめとする世界経済大きく収縮するようなことは考えにくいと思われます。
米中貿易摩擦は米国に有利なだけで、統制経済である中国は無理やりにでも経済を持たせようとするので、中国以外の国にじわじわ波及することはあっても、リーマンショックのような危機にはならないと考えています。
また、中国相手にはすこしハードルが高いですが、本当に破綻する前に協議による解決を図る時間が十分に残されています。
積立投資であれば、引き続き投資を続けて問題ないと考えていますが、これまでのような堅調な世界経済は続かず、徐々に景気の後退機に向かうと考えています。
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