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平成30年(2018年)人事院勧告の内容!5年連続増額も民間の上昇には追いつかず?

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 今回は今年の人事院勧告の内容を紹介します。

 国家公務員の給料を決める人事院勧告は毎年8月上旬に行われますが今年は8月10日に実施されました。(17年は8月8日)

 人事院勧告は労働基本権が制約され、給与など勤務条件の改定に自ら関与できない国家公務員のため、人事院が国会と内閣に必要な勧告を行い、法改正により見直しを求める制度となります。

 

 公務員と民間企業の従業員の給与水準を均衡させることを目的に、毎年実施されますが、今年は勧告にあたり、従業員50人以上の規模の民間事業所約1万2500カ所53万人の給与や諸手当の支給状況を調査し、その結果から給与の官民差を算出しています。

 勧告は50人以上の規模の民間企業の給料を調査し行われるため、公務員の給料が上がることは、民間の給料が上がっている証となりますが、今年は少し上昇幅が小さかったようです。

 

人事院が入る合同庁舎

今年の人事院勧告の内容

 2018年の人事院勧告の内容をざっくりまとめると

  • 月例給(基本給)は0.16%(655円)アップ(昨年は+0.15%(631円))
  • 一時金(ボーナス)は0.05ヶ月の引き上げにより4.45ヶ月に(昨年は+0.1ヶ月)
  • 月例給・一時金ともに5年連続の引き上げとなり、年間給与は平均3万1千円アップ(昨年は5万円アップ)

今年は年収ベースで考えると昨年の6割程度の引き上げにとどまりました。

(1)民間給与との比較による月例給の改定

 まずは基本給にあたる月例給について。昨年の人事院勧告では民間給与との較差は民間が高く、その差は655円(0.16%)となっていました。(昨年は708円)

この格差を解消するため、俸給表(給料表)について、初任給は1,500円引き上げ、若年層についても同程度改定し、その他は400円の引き上げを基本に改定となりました。この部分は昨年と一緒です。

 民間の初任給との差が大きいので、若手重視の傾向が今年も続いています。

民間(春闘)の結果

連合の春闘の取りまとめ結果によると、

  • 企業の賃上げ額は1605円(0.54%)と昨年1395円(0.48%)を超える上昇になっています。

f:id:monkey_papa:20180817062521p:plain(出典:連合|労働・賃金・雇用 春季生活闘争 2018年春闘より)

 

 18年の勧告では月例給の引き上げは655円(0.15%)と昨年のほぼ同等の引き上げ幅となっていることから、民間の上昇を反映したものといえるか、若干疑問がのこります。

(2)ボーナスは小幅ながらも4年連続増額勧告&夏冬平準化

 国家公務員の 年間のボーナス支給は、昨年の勧告で0.10ヶ月増の4.40ヶ月となっています。そして18年は0.05ヶ月増により4.45ヶ月となりました。

 連合の調査はというと、4.81ヶ月から4.92ヶ月と0.10ヶ月のアップ。

人事院勧告は連合の結果と比較すると、上昇幅が小さくなっています。

 

f:id:monkey_papa:20180817065141p:plain

 

 平成30年の人事院勧告に関する事前報道では、「民間は上り坂でも人事院勧告は控えめ」と報道されていたとおり、今年の人事院勧告ではプラス0.05ヶ月の引き上げにとどまり公務員にとっては厳しい結果となりました。

 

  今回の勧告により、これまで12月の支給額が多くなっていた偏りが平準化され、2019年度からは6月期と12月期の支給月数が同じになります。 

  6月期 12月期  年間計
2018年度 期末手当 1.225月 1.375月  
勤勉手当 0.900月 0.950月  
合計 2.125月 2.325月 4.45月

2019年度

以降

期末手当 1.300月 1.300月  
勤勉手当 0.925月 0.925月  
合計 2.225月 2.225月 4.45月

(3)国家公務員の定年は65歳に引き上げ

 今年の勧告の目玉として定年の引き上げがあります。内容としては

  • 段階的に定年年齢を65歳まで引き上げが必要
  • 60歳超の年間給与は60歳前の7割水準
  • 役職定年制の導入により組織活力を維持
  • 定年前の時短勤務の導入により、多様な働き方を実現

となっています。

 しかし、定年引き上げの開始、完成年度は明記されていません。短期間で定年の引き上げを実施すると退職者が少なくなり、新規採用を極端に絞る年度が発生するためです。

 今後、法制化のため詳細な検討が必要となり、法制化後の実施となりそうです。

(4)一般職員の扶養手当は移行完了へ

 17年の人事院勧告の目玉でもあった国家公務員の扶養手当の見直し。配偶者の金額を減らし、子供に手厚くという内容でした。

 一般職員については、平成30年度から配偶者6500円、子10,000円に完全移行します。平成31年度は、幹部職員の配偶者、父母等にかかる手当が6500円から3500円に減額されます。

勧告が完全実施されるとどうなるか

 今年の勧告を政府が勧告どおりに実施した場合どうなるかについてまとめました。

若手職員に手厚い配分に

 昨年同様、増額分は民間と比べ水準が低い若手に重点的に配分され、初任給が1500円引き上げられることから、20代の職員は1000円程度の賃上げが実施される見込みです。

 そして、昨年同様に50、40代には厳しく400円程度の月例給アップとなります。

人件費は1,150億円の増加に

 昨年は税収が減少しましたが、財務省の試算によれば、今回の勧告が完全実施されると国家公務員の人件費が360億円(昨年520)の増に、地方公務員は790億円(昨年1,370億円)の増と合計1150億円(昨年1890億円)増えることとなります。

 総額を見ても今年の勧告は民間が上昇する中、渋目の内容と言えます。

一人当たりの年収は3万1000円増も中堅には厳しい内容に

 全体では1150億円ですが、一人当たりの年収は平均で3万1000円増える見通しとなっています。

 あくまで平均であり、人事院が公表するモデル給与例(扶養親族なし)でとなると若手が3万円代、35歳から40際の係長が2万代半ばの増額となっています。

 ボーナスの増加が0.05ヶ月にとどまったため、子育て世代である係長クラスの年収増が落ち込んで見えます。

 若手は1500円の月給アップに対して、中堅クラスは400〜700円にとどまったため、0.05ヶ月のボーナスアップでは年収は若手ほど上がらない結果となりました。

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(出所:平成30年人事院勧告資料「給与勧告の仕組みと本年の勧告のポイント 」より)

昨年2017年の人事院勧告の内容はこちら

www.gakushi-investment.com