先日、20代の若手社員がiDeCoのポートフォリオができたので見て欲しいと相談してきました。
アドバイスできるような身分でもありませんが、話を聞いてみましたので内容を記事にしました。
- iDeCo(イデコ)の目的と特徴を確認
- 長期運用ではリターンはn乗で増えるがリスクは√nでしか増えない
- 20代iDeCoのためのアセットアロケーション
- 資産運用のシミュレーション結果から考えるリスクの取り方
- まとめ
iDeCo(イデコ)の目的と特徴を確認
新入社員いわく、
- 損失を出したく無いのでリスクは抑えたい
- 長期投資なのでリターンも確実に得たい
との考えでした。しかし、イデコの主な特徴としては
- 運用益が非課税など税制優遇が受けられる
- 給与天引きのため長く継続することができる
- 原則60歳まで払い出し不可
- 手数料負担が大きい
などがあげられます。
特に60歳まで払い出しができないことと、手数料負担が大きいことに注目すると、結婚資金や住宅、教育といった、ある程度近い時期に起こり得る人生のイベントに備えて運用するものではなく、老後の資金という、人生のクライマックスに向けての資産運用となります。
つまり一旦イデコに加入した20代には35年と長期に渡り資産運用をすることになります。
さらに、ドルコスト平均法と複利効果が得られるため相当の確率で資産はプラスになります。
ドルコスト平均法や複利効果についての記事はこちらです。
長期運用ではリターンはn乗で増えるがリスクは√nでしか増えない
そして、資産運用をする上で理解すべきこととして、リターンはn乗で増えるということがあります。
毎年5%のリターンで運用できた場合、最初に投資した資産は、35年後には約650%(5.5倍)にまでふ得ています。
しかし、今回相談を受けた若手社員は、少し前のめりになっているのか、若手にはそれなりの負担となる、毎月2万3千円のいう資金を失いたく無いという心配からリスクを取れていませんでした。
そこで、リクスを理解するために必要なこととして、リスクはn乗ではなく、√nでしか増えないと教えてあげました。
リターン5%で運用できる金融商品のリスクが10%であった場合、35年後のリスクは約6倍の60%となります。
35年の長期投資では、650%のリターンに対して60%のリスクしか無いわけです。
20代iDeCoのためのアセットアロケーション
若手社員が考えたリスクを抑えたアセットアロケーション
後輩が考えたアセットアロケーションは、次のグラフのように債券30%のバランスがよい構成となっていました。リターンは6.1%、リスクは12.1%と、それなりの結果を残せそうです。
20代におすすめ高リスクなアセットアロケーション
私が20代若手社員に勧めたアセットアロケーションはこちらです。単一構成なので、アセットアロケーションというのはふさわしく無いかもしれませんが、海外株式に投資することで、年間9%のリターンを得ることができます。
これじゃ投資がつまらないと思ったならば、それはそれで正解です。私の経験から言えるのは、楽しい投資は損をするだけです。
次では、リターンが上がった分上昇したリスクを20代なら本当にこのリスクを取っても大丈夫なのかを考えます。
資産運用のシミュレーション結果から考えるリスクの取り方
ここでは毎月23000円をイデコで運用した場合の結果をシミュレーションします。手数料や毎年の控除は考慮していません。
リターン6.1%リスク12.1%の場合
3分でわかる!投資におけるリスクは標準偏差を知ることで解決!で記事にしたように運用結果が「-3σ」を下回る可能性は0.1%しかありません。
後輩が作ったリターン6.1%リスク12.1%のアセットアロケーションで毎月2.3万円(手数料は無視)を35年にわたり運用すると、99.9%の確率で元本966万円が1850万円と約2倍になります。もちろんそれ以上になる可能性もあり期待値は3250万円と3倍以上の結果となります。3000万円あればかなり余裕のある老後をむかえることができそうです。(※ルートt倍法で計算しているため少し過大な運用結果になっています。)
しかし、これに満足してはいけません。
リターン9%リスク19.3%の場合
外国株式のみで運用した場合の期待値は、6,200万円となり、かなり楽しい余生となります。早期リタイアも可能となるかもしれません。
そして注目したいのは「-3σ」の場合です。結果が4000万円を超えています。若手社員が考えたアセットアロケーションの期待値である3250万円を超えているのです。
これを理解すれば、リスクを取ることが楽しくなります。
投資期間が短い場合は要注意
この記事において20代はとした理由として短期間の投資においてはリスクに注意が必要なためです。
下のグラフは月2万3千円をイデコで海外株式のみに投資した場合のシミュレーション結果です。-2σの悪いケースで投資額とほぼ均衡しています。約2%の確率で利益がでない結果となるということになります。
まとめ
今回の記事から分かることは、
- 投資はNISAでもiDeCoでも若いうちから無理の無い金額で積立
- 20代の投資はリスクをとって大きく育てる
です。若い人にはぜひ今日から取り組んで欲しいところです。