サラリーマンの税込み年収から手取りまでの計算過程と源泉徴収票の初歩的な読み方についてまとめました。
年収・所得額・手取り額の関係
サラリーマンの年収には主に「収入」、「所得額」、「課税所得」、「手取り額」とがあります。
私自身がそれぞれをよく理解せず使っていましたので、副収入がないとの前提で計算過程と仕組みを簡単にまとめました。
- 収入=年収や額面給与とも言われます。基本給・残業代・扶養手当など全てを含む総支給額となります。
- 給与所得=サラリーマンの経費である「給与所得控除」を行った後の金額になります。所得額と呼ばれることもあり、児童手当はこれベースに諸条件を加味し算定されます。
- 課税所得=給与所得から社会保険料や配偶者控除を控除し、求められます。この額に所得税率を乗じて所得税の計算されます。
- 手取り額=最終的に会社から支払われる金額。
これらの関係を概念図にしたものが下の図になります。
一般的には年収からだいたい20%(15%から25%)を控除した額が手取り額になるといわれています。
平成28年分源泉徴収票の読み方
上の概念図に相当する部分が源泉徴収票のどの部分にあたるかを図を用いて説明します。
①から④の番号は先ほどの概念図と一致させています。
- ①は会社から支払われた給与の総支給額。
- ②は①からサラリーマンの経費に当たる給与所得控除額を引いた額。
- ③は社会保険料、生命保険料、配偶者控除等の合計額。つまり②ー③が所得税の対象となる課税所得。
- ④は②ー③で求められた課税所得に所得税率を乗じて算出される所得税の源泉徴収額。住宅ローン減税がある場合はその額が税額がら引かれる。
所得税の計算に必要な計算式など
給与所得控除額とは
給与所得の金額は、給与等の収入金額からサラリーマンの経費にあたる給与所得控除額を差し引いて算出します。
給与所得控除額は、給与等の収入金額により次のようになりますが、給与等の収入金額が660万円未満の場合には、次の表にかかわらず、所得税法別表第五(年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表)(e-Govへリンク)により給与所得の金額を求めます。
複数の源泉徴収票がある方は全ての収入を合算しての計算となります。
平成28年分
平成28年の給与所得控除額は次のようになります。低所得なほど収入に対して控除される割合が大きくなります。
給与等の収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) |
給与所得控除額 |
---|---|
180万円以下 |
収入金額×40% (ただし、計算結果が65万円に満たない場合には65万円) |
180万円超360万円以下 | 収入金額×30%+180,000円 |
360万円超660万円以下 | 収入金額×20%+540,000円 |
660万円超1,000万円以下 | 収入金額×10%+1,200,000円 |
1,000万円超1,200万円以下 | 収入金額×5%+1,700,000円 |
1200万円超 | 2,300,000円(上限) |
平成29年の給与所得控除額は高所得者に厳しく
平成29年よりの給与所得控除額は次のようになります。28年は1200万円を超える人に上限値が適用されていました。しかし、29年からは1000万円を超えると上限値が適用され、上限値も100万円引き下げられました。高所得者に厳しい改正となっています。
給与等の収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) |
給与所得控除額 |
---|---|
180万円以下 |
収入金額×40% (ただし、計算結果が650,000円に満たない場合には650,000円) |
180万円超360万円以下 | 収入金額×30%+180,000円 |
360万円超660万円以下 | 収入金額×20%+540,000円 |
660万円超1,000万円以下 | 収入金額×10%+1,200,000円 |
1,000万円超 | 2,200,000円(上限) |
所得控除とは
所得税の計算では、納税者の個人的事情を考慮するため要件を満たせば、所得額からの各種所得控除の合計額を差し引いて求められる課税所得税額を基礎として計算されます。
雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、 小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、 地震保険料控除、寄付金控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除があります。最後の基礎控除は一律38万円の適用となります。
各種控除の詳細な内容については所得控除のあらまし|国税庁を参照してください。
所得税額の税率と計算方法
平成27年以降の所得税は次の表により計算されます。課税される所得は先ほどの源泉徴収票の②から③を引いた額となります。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
所得税の計算例
サンプルとしてあげた源泉徴収票の場合、課税される所得が
4,740,000-1,374,000=3,366,000円
となりますので、
3,366,000×0.2-427,500=245,700円
がこの年の所得税となります。
サンプルの場合住宅ローンによる「住宅借入金等特別控除」の20万円がありますので、税額から20万円が控除され45,700円となります。
そして、最後に注意して欲しいのが、平成25年から平成49年までは所得税に復興特別所得税(所得税額の2.1%)が必要となりますので、45,700円に1.021を乗じた金額が最終的な所得税となります。
最後にまとめ
源泉徴収の読み方についてまとめです、
- 源泉徴収票は各項目の内容を理解すれば簡単に読める
- 給与所得控除額は定率計算で高所得ほど控除されにくくなる
- 所得控除は配偶者の収入などを各個人の事情を考慮した控除額
- 課税後の手取り額は年収の2割程度が目安
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