米国株に投資したいけど、海外ETFはまだという私がお勧めする国内投信で購入可能なものが「S&P500配当貴族指数」に連動する商品です。
次の記事でダウ工業平均との比較をしましたが、今回は類似指数との比較に絞って書いています。
S&P500配当貴族指数とは何か?
「S&P 500配当貴族指数」は、S&P Dow Jones Indices LLC が開発・算出している米国の株価指数であり、構成銘柄はS&P500構成銘柄から25年以上連続で増配している銘柄を対象とし、均等加重により算出されます。
構成銘柄の見直しは最低40銘柄とし、25年以上連続で増配している銘柄が40銘柄を下回る場合は、20年以上連続で増配している銘柄を配当利回りの高い順に40銘柄になるまで追加します。
40銘柄に満たない場合は、配当利回りの高い順に40銘柄になるまで追加することとなっており相対的に優良高配当銘柄で構成されることとなります。
ただの高配当銘柄を集めると電力などの成長性の乏しい銘柄で構成されるため、キャピタルゲインを望むことができなくなりますが、連続増配銘柄の強みはキャピタルゲイン・インカムゲイン両方が得られることです。
過去10年のリターン・リスクをダウ工業平均・SP500指数と比較
一般的にS&P500が米国株に投資する際にもっとも選ばれやすいインデックスだと思っていますが、より高いリターンを低リスクで得られる「S&P配当貴族指数」を「ダウ工業平均」と「S&P500」と比較しました。
長期投資であればあるほど有利に
3つの指数の過去5年間の年率リターンを調べると
- 配当貴族指数:15.3%
- SP500指数:15.1%
- ダウ工業平均 :14.1%
と拮抗した結果となります。期間の取り方によっては順位は入れ替わるぐらいの僅差です。こういった比較であれば手数料が安いものを選ぶべきでしょう。
しかし、インデックス投資は長期で行うものです。10年間に遡るとその差は大きなものとなります。
下のグラフは07年7月末の各指数を100として17年7月末までの価格変動を比較したものになります。
(07年7月〜17年7月の各指数価格推移(ドルベース))
結果、配当貴族指数の圧勝となっています。この要因は次の暦年ごとのリターンの勝敗にあるといえます。
暦年ごとの勝敗は?結果は配当貴族指数が圧勝!
暦年ごとの各指数のリターン(ドルベース)と10年間に1位になった回数は、
- 配当貴族指数:11.0%(5回)
- ダウ工業平均: 7.8%(3回)
- S&P500 : 7.5%(2回)
と各ブログで推奨されているS&P500が最下位となりました。また配当貴族指数が他の指数より3%を超える成績を残し、非常に優れた結果となっています。
(07年〜17年の各指数リターン比較(ドルベース))
連続増配銘柄の強みをもつ配当貴族指数は08年の下落時に顕著にでています。
他の2指数は30%を超える下落となったにもかかわらず、配当貴族指数はマイナス21.9%と連続増配銘柄の強みを発揮しています。
さらに翌09年には下落分を超える上昇を見せています。これはダウ工業平均やS&P500指数には見られない回復となっています。
また、円ベースであればリターンは、
- 配当貴族指数:10.7%
- ダウ工業平均: 7.6%
- S&P500 : 7.3%
とここでも配当貴族指数が1位になります。
指数のリスクはどれくらい?
さらに同じ期間のリスク(ドルベース)を計算してみました。
- 配当貴族指数:14.2%
- ダウ工業平均:15.7%
- S&P500 :17.9%
実際に配当貴族指数に日本から投資した場合、どのインデックスであっても為替の影響があります。円ベースでのリスクは以下の通りです。
- 配当貴族指数:24.9%
- ダウ工業平均:25.1%
- S&P500 :27.6%
為替によるリスクの増大は約10%となります。為替の影響については下のリンク先で紹介しています。為替リスクを避けたいところですが、実際の直近10年では為替リスクをとることにより、ドルベースよりも良い運用成績が残すことができています。
最後に配当貴族指数のメリットデメリット
最後に配当貴族指数の収益力のまとめも兼ねて配当貴族指数のメリット・デメリットについてです。
配当貴族指数への投資メリットは暴落時にあり
すでに述べたとおり配当貴族指数特有の動きがメリットとなります。
- 08年のリーマンショックでの下落幅の小ささ
- リーマンショック翌年09の上昇率の大きさ
- 好景気においても他の指数と同等のリターンとなる
これら3点だけでも長期投資の行う人であれば配当貴族指数の収益力が優れていることがわかると思います。
前述のリターンとリスクをグラフに示すと下のようになります。配当貴族指数がより低いリスクで高いリターンを得られることもわかります。
(左ドルベース、右円ベース)
手数料が多少高くても儲かればイイじゃないか!
人によってはデメリット、しかし私にとってはデメリットではない点が手数料です。
ダウ工業平均に連動する投信の手数料が0.243%、配当貴族指数に連動する投信の手数料が0.54%となっています。0.2%の差となります。(17年8月17日現在)
しかし長期でみれば年間3%のリターンの差、より小さなリスクを考えれば、ダウやS&P500よりも大きなリターンを得られることとなりますので、デメリットとは言えないと考えています。
ただし、米国ETFなどは手数料が0.1%以下のものがありますので、ETFでという場合は別途検討が必要です。
忘れてはいけないデメリット
最後に忘れてはいけないデメリットです。現状大きなデメリットはないと思っていますが2点ほどあります。
- 購入は原則として国内投信3本のみ(ヘッジなし2本、ヘッジあり1本)
- 少ない運用額
国内投信3本のみとラインナップが少ないため手数料の競争もまだ起きていません。ETFで買えないのは弱みかもしれません。今後新たな投信やETFが設定されるのを待ちたいところです。
次に運用額ですが、「三井住友TAM-SMT 米国株配当貴族インデックス・オープン」が最大の運用額となっていますが、17年7月末現在で5.41億円と低水準となっています。
そのためインデックスから乖離するトラッキングエラーが生じやすい状況となっています。販売順位もSBIでは300位台(17年8月16日時点)とそれほど高くもない状況となっており、今後販売額が増えるのを気長に待つしかない状況です。
S&P500配当貴族指数に連動する投資信託
配当貴族指数に連動する国内投信は17年7月末現在で計3本となっています。
いずれも手数料が年間0.5%超と高めの設定となっていますが、それはこの記事で書いた内容からもあまり気にする必要がないと思っています。
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