今回は投資におけるリスクを年率(%)から月率(%)に変換する計算を紹介します。
リスクを年率から月率に変換する理由
投資リスクはリスク(標準偏差)で考えられることは、これまでに紹介してきましたが、毎月の積立を行う場合は、月率のリスクで計算したほうが、計算は大変ですが、正確な結果を得られます。
これにより、ボーナス月の追加投資や、収入に合わせた投資額の変更にも対応したシミュレーションが可能となります。
これによりより将来の投資運用結果を正確に把握できます。
リスクを使った計算は難しそうだからという方には
もっと簡単に将来の結果を計算したい方には、下の記事で紹介してるリスクを考慮せずリターンのみ(±0σの結果)かつ、毎月一定額による運用結果の計算がおすすめです。スマホの電卓でもできる簡単な計算となっています。
例えば一年に24万円の積立を20年とか、一月に2万円の積立を20年といった計算が可能になります。
もちろんですが、月で計算するときは、月率のリスクが必要となります。
月率換算リスクの計算方法
リスクは期間の平方根(=√)で増加します。これについては野村證券 | 標準偏差・分散(証券用語解説集)でも次のように書かれています。
標準偏差は求めた値を年率換算(年間での変化率を計算)して使うのが一般的だ。具体的には、日次、週次、月次騰落率から計測した標準偏差について、1年=250(営業日)=52(週)=12(月)の各250、52、12の平方根を掛けた値が年率換算値になる。それぞれの平方根を掛け合わせるのは、標準偏差の2乗である分散が計測期間(時間)の長さに比例して大きくなるというランダム・ウォークの考え方に基づく。
つまり、月次の騰落率である月率リスクに12(ヶ月)の平方根をかけると年率換算のリスクとイコールになる必要があります。
よって、月率と年率のリスクの関係は、
この両辺を√12でわります(=×0.2886)すると、
となり、月率リスクは上式で求めることができます。これだけです。
ダウでの計算例
例として、SMTAMダウ・ジョーンズ インデックスファンドの年率リスクから月率リスクを算出します。データは下の表を使います。
その前に一番上のリターン(年率)が5年間で21%とすごいパフォーマンスとなっています。改めて米国株の凄さを感じます。
期間1ヶ月で計算
リスクの話にもどります。過去5年の年率換算のリスクは17.84%です。これを1ヶ月のリスクにする場合、1/12の平方根で割るだけです。(=0.2886をかける)
結果は、17.84%×0.2886=5.15%です。
月率リターンは1.62%ですので、正規分布に従えば、1月後の変動は約68%確率(ー1σから+1σの間に入る)で、
+1σ(1.62%+5.15%=6.77%)から
ー1σ(1.62%ー5.15%=−3.53%)の間に収まります。
期間が短くなると、リスクがリターンほど小さくならないため、上のようにマイナスとなる可能性が高くなります。
逆に長期であればマイナスの確率がどんどん減ります。
年率リターンは21.31%ですので、正規分布に従えば、1年後の変動は約68%確率で、
+1σ(21.31%+17.84%=39.15%)から
ー1σ(21.31%ー17.84%=3.47%)の間に収まります。
株価が好調だった5年間のデータにもとづいていますので、結果がすごく良く見えますが、1ヶ月から1年にするだけで勝率がアップすることがわかります。
これがインデックス投資、つまりほったらかし投資では長期投資となればなるほど、誰しもが勝つことができると言われる所以です。
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