石川県金沢市と富山県富山市、高岡市で百貨店を経営する大和(8247)の第101回定期株主総会に出席してきました。
この株を持っている理由は地域の百貨店の応援と10%割引となる株主優待カードのためです。今回の株主総会でも地方の百貨店のおかれた状況の厳しさが伝わってくる内容でした。
優待制度の詳細はこちら
今年も会場は連結対象のニューグランドホテル
2017年5月25日の第101回定時株主総会の会場も例年どおりニューグランドホテルを会場にして午前10時から開催されました。このホテルは大和のグループ企業となっています。
駐車場はホテルの駐車場と近くの指定駐車場が無料で利用できます。この日は9時20分頃に到着しましたが、駐車場にはまだ空きがありました。
気になる今年のお土産は?
今年も昨年同様に株主総会の会場にもなっているニューグランドホテルの焼き菓子の詰め合わせでした。ここのお菓子は好きなので憂強いお土産となりました。
かつては袋に入っていなくて中身も牛乳石鹸だったため株主総会で苦情が出たそうですが、今はちゃんと袋に入っています。
気になる株主総会の内容
4000人程度しか株主がいない大和ですが、この日は平日にもかかわらず会場はほぼ満員。石川県で開催される株主総会は少なく投資家にとっては数少ない総会出席の機会であるため参加される人も多いのだと思います。
経営側からの説明内容
厳しい経営が続く全国の百貨店の一つの大和も経営は厳しい状況が続きますが、内容をザクッとまとめると
- 売り上げは3.6%ダウン
- 営業利益は60%以上ダウンの約2億円
- 減益の主な理由は衣料品の低迷。催事や化粧品は順調
といったところ。後でも書きますが、高岡店の減収減益については、経営側からはさらっと飛ばされた感じがします。
あと、金沢きららの完成により20億近い固定資産の増加があったようです。金沢に住む身としてはなるほどといった感じです。
株主からの質疑内容
3名の株主から質疑がありました。一問一答形式ではなかったため、挙手した人3名が前置きや自分の大和への思いをこんこんと語りまとめて数問を質問したため、経営側の回答もグダグダになっていました。
来年以降は一問一答形式で、質問回答ともに簡潔におねがいしたいところです。
長時間にわたった3名分の質疑をザックリとまとめると次の6項目の内容となります。
利益の減少の要因と経営の改善
この質問は次の1点でした
利益の減少の理由と改善について
これに対する経営側の回答は
28年2月期は有価証券の売却益が大きかったため。そして、衣料品の不振があった。引き続き経営基盤強化のための努力を行ってまいりたい。
これには驚きました、29年2月期の説明で営業利益が60%以上減少したと説明しておきながら、有価証券の売却益を前面に出してきたのです。株主総会を無事に終わらせればそれで良いかのかという印象をえました。
この後の質疑への回答もそうですが、経営陣の危機感のなさ説明の不十分さには驚きました。
プライマリ会員などの制度について
プライマリ会員に関する質問は次の3点
- カーネンションサークルとプライマリ会員のサービスの重複について
- 毎年経営側から説明があるプライマリ会員数拡大の数値
- 大丸のポイントとの連携
経営側からの回答は2、3ははっきりしていましたが、1はなんだかぼんやりでした
- それぞれ重複するところもあるが、カーネーション、プライマリ会員、株主優待とも利用者の不利益にはなっていない。今後も制度は続けたい。
- H29年2月末の会員数は前年比約6千人増の約14万2千人
- 大丸のポイント制度のとの連携は考えていないが、ポンタや楽天等のポイントとの交換を通じて連携を考えたい。
3については、ポンタや楽天という具体名が出ましたので、現在実際に検討を行っているのかなという印象を受けました。そうなると首都圏からのお客さんにとって便利になる可能性もあります。これについては是非実現をお願いしたいところです。
高岡店について
高岡店についての質問はかなり厳しい意見でした。ザックリとまとめると2点です。
- 高岡店は売上高が10%近い下落。実際に魅力がなく買い物をしたい気持ちにならない。今後どのようにたてなおすのか。
- 高岡店は黒字なのか?店別の収支を教えて欲しい。
経営側からの回答は2問ともぼんやりでした。決定的な対策が打ち出せずにずるずると売上高が減少しているのが現状のようです。
- 4、5年前に地元企業の協力を得てテナントを入れるなど対策を行っている。現在は外商にも力を入れている。
- 各店で建物の持分により賃料が異なるため、具体的な数値はだせないが、利益の6割が香林坊、4割が富山、高岡はトントン。今後も黒字を死守したい。
1は4、5年前の対策を説明するなど、抜本的対策がないんだろうなという印象。
2は質問への回答になっていませんでした。専務から説明があった「黒字を死守」という言葉は現状黒字だと受け止めましたが、毎年売り上げがこれだけ減少していて黒字なのが不思議です。
若者の取り込み・不振フロアのテコ入れについて
私も該当する「団塊の世代の子供の世代」である30代から40代にとって大和に行くといつも感じることが意見としてでました。
- 百貨店は敷居が高く何を買えば良いいのかわからない、どのようにわ若者をとりこんでいくのか?
- 魅力ある店づくりにどうとりくむのか。
これに対する回答を要約するとこんな感じです。
- 安いものを売れば良いわけではない。
- 東京で人気のものを地方に呼ぶには時間的なズレがあり人気が終わっている場合もある。
- フロア面積がせまく思い切ったテナント誘致が可能なわけではない。
- 価格がこなれた若者に魅力のあるものをテナントに入れることを考えたい。
大体こんな感じです。大和をどうしたいのか伝わってきません。
確かに子供と大和に行っても子供と過ごす場所も少ないですし、子供向けメニューが多い直営の飲食店はサービスも味も良い方とは言えません。
またメンズ衣料品も多くが老舗ブランドの高価格帯のものです。もう少しこなれたものとのミックスで若い顧客を囲い込む必要がありそうです。
サテライト店について
野々市にできたサテライト店に関する質問内容は
- これまで構造改革で縮小してきたギフト店とのちがい
- なぜ野々市にサテライト店を出したのか
経営側の回答は
- ギフト店は採算度外視した出店があったがサテライト店は採算を検討して出店した。ギフト専門店ではなく本店にないものや魅力のあるものを取り揃えている。
- 若い世代が住む住宅地が増えたため香林坊までいかず大和の商品を手にしたいという需要がある。
という内容でした。確かに以前多く出店していたギフト店は儲かってるような様子はありませんでした。サテライト店に期待したいところです。
包装紙の刷新について
終盤に質問というよりは意見としてでたのがこの質問です。
大手百貨店は包装紙の刷新も行っている。大和が変わったという印象を打ち出すためにはそういった取り組みも考えてはどうか。
経営側からの回答は、
コストの面も考える必要があるが、貴重な意見である。今後研究したい。
現在の包装紙や袋はそれなりに地元ではブランドとして定着していますが、確かなご意見。今後の研究成果に期待です。
不振低迷が続く高岡店は閉店の可能性も
今回の株主総会で一番気になったのは、高岡店についてです。
香林坊と富山に挟まれ商圏が小さく、アウトレットの出店や新幹線駅との位置関係などもあり今後はそうと厳しい状況が続くと思われます。
抜本的な対策が打ち出せていない状況では、高岡店の閉店により香林坊富山の2店体制になる可能性は高いのだろうなとおもっています。
株式の併合による優待制度はどうなる?
9月1日付で5株が1株に併合されます。これは東証が売買単位を100株に統一するためです。これにより、現在1000株保有している場合9月1日付で200株と売買単位の2倍の株式を保有することとなります。
2018年の株主優待は最低売買単位の100株からなのか?それとも200株保有していなければ優待を受けられないのかは現時点では発表がありません。
最後に
大和を愛するものとして今後一層の経営努力。魅力ある店づくりサービスを期待しおわります。