国際不動産に投資する投資信託を選ぶ時によく見る指数に、S&P先進国指数があります。S&PグローバルREIT指数の下位指数でありながら、世界の先進国のみに投資できることから、最もポピュラーとなっているこの指数の特徴について詳しく調べてみました。
S&P先進国REIT指数とは
この指数は、日本を含む16カ国の先進国市場の不動産投資信託から構成されており(2017年3月末時点)、スタンダード&プアーズ・ファイナンシャル・サービシーズ・エル・エル・シー社(S&P社)が算出・公表している指数です。
1989年7月1日の設定以来、世界のREITに投資するファンドのインデックス指数として広く採用されています。
S&PグローバルREIT指数との違いは
S&PグローバルREIT指数とS&P先進国REIT指数は異なるもので、グローバルが上位指数、先進国が下位指数となります。表のようにS&PグローバルREIT指数を構成する23カ国の投資国のうち、先進国16カ国により算定された指数が先進国REIT指数となります。さらに日本を除いた先進国15カ国により算定された指数がS&P先進国リート指数(除く日本)となります。
日本で販売されているインデックス型投資信託には、これら4つのインデックス指数をベンチマークとするものが多くなっています。
S&P先進国REIT指数はこの中でも最も設定数が多く、その全ファンドがS&P先進国REIT指数(除く日本)をベンチマークとしています。
指数 | 投資国 | ||||
---|---|---|---|---|---|
S&PグローバルREIT指数 |
S&P先進国REIT指数 |
S&P先進国REIT指数(除く日本) |
先進国16カ国 |
先進国(除く日本)15カ国 |
|
S&P日本REIT指数 | 日本 | ||||
S&P新興国REIT指数 |
新興国7カ国 |
国別の組み入れ銘柄数と構成比率
国別の構成状況は、日本を含む先進国16カ国となっていますが、上位指数であるS&Pグローバル指数と同様、ウエイトの2/3をアメリカが占めています。
また、組み込まれている銘柄数は381銘柄となっています。(2017年3月現在)
国名 | 組入れ銘柄数 | 構成比 |
---|---|---|
アメリカ | 158 | 66.3% |
日本 | 56 | 8.4% |
オーストラリア | 32 | 7.6% |
イギリス | 26 | 4.9% |
フランス | 7 | 3.8% |
シンガポール | 31 | 2.8% |
カナダ | 30 | 1.8% |
香港 | 8 | 1.7% |
スペイン | 4 | 0.7% |
ベルギー | 9 | 0.7% |
ニュージーランド | 8 | 0.4% |
オランダ | 4 | 0.4% |
アイルランド | 3 | 0.2% |
ドイツ | 2 | 0.2% |
イタリア | 2 | 0.1% |
イスラエル | 1 | 0.0% |
(2017/3/31時点S&P Dow Jones Indicesより)
用途別(セクター別)構成比
用途別の構成比は次のとおりとなっています。オフィスが43%を占める東証リート指数と比較すると、各セクターに分散されており、より景気の影響を受けにくいポートフォリオとなっています。
用途(セクター) | 構成比 |
---|---|
店舗用 | 26.6% |
オフィス | 14.7% |
住宅用 | 14.3% |
各種・分散投資型 |
12.7% |
専門・その他投資型 | 9.6% |
ヘルスケア | 9.2% |
工業用 | 8.2% |
ホテル・リゾート | 4.8% |
組み入れ上位10銘柄
本指数(除く日本)をベンチマークとしている「iFree外国REITインデックス(大和投資信託)」の2017年3月末現在のポートフォリオは次のとおりとなっています。
順位 | 銘柄名 | 構成比 | 投資国 | 用途(セクター) |
---|---|---|---|---|
1 | サイモン・プロパティー・グルーフ゜ | 5.0% | アメリカ | 店舗型 |
2 | パブリック・ストーレッジ | 3.0% | アメリカ | 専門型 |
3 | プロロジス | 2.5% | アメリカ | 工業用 |
4 | ウェル・タワー | 2.4% | アメリカ | ヘルスケア |
5 | アバロンベイ・コミュニティーズ | 2.3% | アメリカ | 住宅用 |
6 | ベンタス | 2.1% | アメリカ | ヘルスケア |
7 | エクイティ・レジデンシャル | 2.1% | アメリカ | 住宅用 |
8 | ユニボール・ロダムコ | 2.1% | フランス | 店舗型 |
9 | ボストン・プロパティーズ | 1.9% | アメリカ | オフィス |
10 | センターグループ | 1.6% | オーストラリア | 店舗型 |
(2017年3月末現在iFree 外国REITインデックス より)
長期・短期のリターンとリスク
2017年2月末時点のリターン(配当込み)は円換算で良好な成績を残しています。2008年のリーマンショックを含む10年間のリターンは2.5%となっていますが、さらに長期の20年間では8.9%と投資先としては申し分のない結果となっています。
年率平均 | 1年 | 3年 | 5年 | 10年 | 15年 | 20年 | 30年 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
円換算 | リターン (%) | 13.4 | 12.4 | 17.9 | 2.5 | 9.0 | 8.9 | ー |
リスク (%) | 17.2 | 15.5 | 15.8 | 25.0 | 21.8 | 21.2 | ー |
(2017年2月末現在、出典:『わたしのインデックス』)
また、 S&Pグローバルリート指数と比較してもほとんど変わらないリターン・リスクとなっています。
S&P先進国リート指数をベンチマークとする投資信託
SBI証券において、ノーロードで販売されている投資信託は9ファンドあります。全てが日本以外の15の先進国に投資するファンドとなっており、うち2ファンドが為替ヘッジ有りとなっています。
信託報酬や信託財産保留額を考えると上から3ファンドがおすすめファンドとなります。
ファンド名 | ベンチマーク | 純資産(百万円) | 販売金額ランキング | 信託報酬 | 信託財産留保額 | 決算頻度 | トータルリターン(6ヶ月) | トータルリターン(1年) | トータルリターン(3年) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
三井住友・DC外国リート・インデックスファンド | S&P先進国REIT・除く日本 | 403 | 77 | 0.3024%以内 | 0% | 年1回 | |||
大和−iFree 外国REITインデックス | S&P先進国REIT・除く日本 | 103 | 446 | 0.3348% | 0% | 年1回 | |||
One−たわらノーロード 先進国リート | S&P先進国REIT・除く日本 | 1,261 | 211 | 0.378% | 0% | 年1回 | 6.15 | 12.17 | |
三井住友TAM−SMT グローバルREITインデックス・オープン | S&P先進国REIT・除く日本 | 12,558 | 164 | 0.594% | 0.05% | 年2回 | 6.08 | 12.01 | 11.63 |
野村インデックスファンド・外国REIT | S&P先進国REIT・除く日本 | 3,645 | 343 | 0.594% | 0.30% | 年1回 | 6.08 | 12.12 | 11.87 |
野村インデックスファンド・外国REIT・為替ヘッジ型 | S&P先進国REIT・除く日本(ヘッジ有) | 448 | 0.594% | 0.30% | 年1回 | -2.95 | 11.43 | 8.96 | |
ブラックロック−i−mizuho先進国リートインデックス(為替ヘッジあり) | S&P先進国REIT・除く日本(ヘッジ有) | 205 | 0.6372% | 0% | 年1回 | -2.51 | 10.79 | 8.32 | |
ブラックロック−i−mizuho先進国リートインデックス(為替ヘッジなし) | S&P先進国REIT・除く日本 | 417 | 0.6372% | 0% | 年1回 | 6.07 | 11.65 | 11.16 | |
三菱UFJ国際−eMAXIS先進国リートインデックス | S&P先進国REIT・除く日本 | 10,542 | 171 | 0.648%以内 | 0.30% | 年1回 | 6.22 | 12.07 | 11.64 |
(SBI証券より 2017/3/10現在)