概算要求の基本的な考え方
8月2日に閣議決定された平成29年度概算要求の基本的な考え方は、高齢化等に伴う年金医療等に係る予算の増加が6,400億円と来年度も社会保障にの増額が続くなか、一億総社会の実現に向けた施策を含め、骨太の方針、日本再興戦略等を踏まえた諸課題に対応するため「新しい日本のための優先課題推進枠」について新たに予算枠を設ける方針となっています。
28年度予算73.1兆円をベースに考えると、
- 地方交付税交付金等
15.3兆円 → 15.3兆円
- 年金医療等
30.6兆円 → 31.2兆円(6,400億円増)
- 裁量的経費
14.8兆円 → シーリング90%
- 義務的経費
12.4兆円 → 見直しにより削減
- 新しい日本のための優先課題推進枠
裁量的経費要望基礎額の30%
となっています。
単純に高齢化に伴う社会保障費の増額と新しい日本のための優先課題推進枠30%という考え方は平成28年度の概算要望の基本的考え方と変わっていません。
新しい日本のための優先課題推進枠は一億総活躍にむけて
平成28年度予算のテーマは「公的サービスの産業化」、「インセンティブ改革」、「公共サービスのイノベーション」を中期的に進めていくことを含む骨太の方針、日本再興戦略等を踏まえた諸課題について要望となっていましたが、平成29年度は「一億総活躍社会の実現に向けた施策を含め骨太の方針、日本再興戦略等を踏まえた諸課題」となり28年度のテーマは引き続き進められるものの諸課題とされ「一億総活躍社会の実現」が色濃くなっています。
一億総活躍社会の実現のための主要施策
一億総活躍社会の実現の加速に関係する主要施策は「未来への投資を実現する経済対策(案)」をみると
- 子育て介護の環境整備
- 保育・介護の受け皿整備
- 保育士の処遇改善
- 介護人材の処遇改善
- 保育・介護サービスをチエ供する多様な人材の確保措置の拡充
- 保育・介護の労働負担の軽減、生産性向上
- 雇用保険制度の意直し
- 育児休業期間の延長
- 学校施設等の環境整備
- キャリアアップ助成金の活用
- 若者への支援拡充、女性活躍の推進
- 給付型奨学金の実現
- 無理し奨学金の残存適格者の解消、低所得世帯への成績基準の撤廃
- 女性を対象としたリーダー育成研修の実施
- 結婚支援の充実、地域共生社会の実現、女性の活躍推進
- 社会全体の所得と消費の底上げ
- 働き方改革の推進
- 年金受給資格の短縮
- 簡素な給付措置
- 雇用保険制度の見直し
- 既存住宅流通・リフォーム市場等の活性化
- 産業界や地域と連携した消費需要を喚起するための運動
- 分散投資を通じた国民の安定的な資産形成の促進
となっています。内容を見ても労働者とりわけ若年層や子育て世代への支援が拡充された施策が色濃いものとなっています。