投資信託のリターンとリスクをエクセル関数で簡単計算
リターンとリスクの計算方法として第1弾のリターン編、第2弾のリスク編で計算式を紹介しました。
今回は第3弾として難しい式はちょっとという方向けとして、エクセルで簡単に計算する方法を紹介します。
利用する仮想データ
利用する投資信託の仮想データは第1弾第2弾と同じく下のグラフの「B」を利用します。
STEP1:リターンはPOWER関数により計算
3分でわかる!リターンとリスクの計算方法 〜リターン編〜で紹介したとおりリターンは計算したい期間の最初と最後のデータだけで算出することができます。
使用するエクセルの関数は「POWER関数」のみです。
手順は次のとおりです。
- A列に基準日、B列に基準価格を入力
- リターンを求めたいセルに次の関数を入力
=POWER(B7/B2,1/5)-1
- B2は計算期間の最初の基準価格
- B7は計算期間の最後の基準価格
- 1/5は計算期間(年数)の逆数(10年ならば1/10) となります
計算する期間が長くデータが膨大な場合は1/5をCOUNTA関数を利用して
=POWER(B7/B2,1/(COUNTA(B2:B7)-1))-1
とすることもできます。
実際に入力すると次のようになります。
結果は14.87%、3分でわかる!リターンとリスクの計算方法 〜リターン編〜と同じ結果になりました。
STEP2:リスクはSTDEVP関数により計算
リターンとリスクの計算方法 〜リスク編〜 で紹介したとおり、リスクの計算には、まず全期間ではなく、毎年のリターンを求める必要があります。
次にリスク(=標準偏差)を求めることとなりますが、リスクは関数で簡単に求めることができます。(下図参照)
使用するエクセルの関数は「STDEVP関数」のみで、次の手順です。
- C列でリターンを求める数式を計算
- リスクを求めたいセルに標準偏差を関数を入力
サンプルデータにおいて、毎年のリターンを求める数式は次のとおりです
=B7/B6-1
- B7はリターンを求める年の基準価格
- B6はリターンを求める1年前の基準価格
実際にリターンを求めるために入力すると、次のようになります。
これで毎年のリターンを求めることができました。
次にリスク(=標準偏差)を求めますが、STDEVP関数を使うことで、簡単に求めることができます。
リスクを求める数式は次のとおりです。利用する関数は「STDEV」ではなく、「STDEVP」であることに注意してください。
=STDEVP(C2:C7)
- C2:C7は毎年のリターンが計算された全データ
実際に数式を入力すると、次のようになります。
結果はリスクが27.57%とリターンとリスクの計算方法 〜リスク編〜 で求めた27.6%と同じ結果になりました。
以上から、投資信託のリターンとリスクは簡単に求めることができます。
こんな記事も書いています
第1弾リターン編・第2弾リスク編の記事はこちら
第1弾リターン編
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第2弾リスク編
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