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「家計のバランスシート」土地の評価額はいくら?評価方法を考える

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 家計を評価しその健全度を理解するためにバランスシートを作成することは有用な手段の一つです。

 家計における資産と負債の中で最も大きなものが、資産は持ち家やマンション、負債は住宅ローンとなります。

 今回は土地に関する評価額をどう記入するのかをまとめました。ただし、家計の場合、事業、販売、投資を目的とした土地を持っている方は少ないと思いますので、本記事における土地はマイホームの場合に限って記載しています。

不動産評価のイメージ

 

バランスシートにおける土地価格の考え方

 企業と家計それぞれの特性を踏まえて、土地の評価額をどう考えるのかを整理していきます。

企業なら取得原価を計上 

 まずは企業から考えます。

 土地は建物と異なり、減価償却したり大きく価格が変動するものではありません。そのため、企業のバランスシートでは、土地は取得原価(つまり取得額)で評価します。

 翌年地価が下がっても価格は変更しないルールとなっています。

取得原価に含めるもの

 企業ののバランスシート作成において、ここまで厳密に考える必要はありませんが、付随費用として土地に含めるものと含めないものがあります。参考に紹介しておきます。

 土地の取得原価には、不動産会社への仲介手数料や固定資産税清算金は付随費用として、土地に含め、登記料については任意になっています。

(出典:土地 - [経済]簿記勘定科目一覧表(用語集)

不動産価格が下落・上昇したらどうするのか?

 企業が所有する事業用地の価格が変動した場合については、上昇した場合は売却時に売却益を利益として計上し、下落の場合は、50%を超える下落の場合は減損処理することとなっています。

 つまり、企業の場合、土地価格に変動があっても、評価額は買えなくても売却した場合にバランスシートが合うように利益・減損という形で調整されることになります。

家計のバランスシートでは売却可能額を記載

 本題の家系のバランスシートでの評価に入ります。

 家計という性質、家計を評価する目的を考慮すると、土地は「売却可能額」つまり「時価」で評価することで、家計の健全性をより正確に把握できます。

家計の性質と評価の目的

 取得額ではなく、時価を記載する理由は家計という性質とバランスシート作成の目的にあります。

 企業の場合は、倒産した場合は、残った資本を株主に返すことでその活動は終了です。

 しかし、家計の場合、今日破綻しても、明日からも家族は生活を継続する必要があります。たとえ家を失っても家族の生活は継続するのです。

 そのため、バランスシートを作成する目的は必然的に、家族に経済的なピンチが訪れ、家を失い、ローンを整理した後であっても、最低限の生活を維持する資本(つまり「現金」)が手元に残るかという最悪の状況を想定した家計の健全性を把握することとなります。

 つまり、現金化した場合の価格で評価する必要があります。

 

 そのため、家計におけるバランスシートにおいて、土地を取得額で評価すると、

  • 土地は双方の交渉によって価格が決まるため、購入価格で売却できるとは限らない(不動産取引は値引き交渉が伴うもの)
  • 売却価格から仲介手数料等を支払う必要がある。(売買価格400万円超の場合売買価格×3%+6万円+消費税)

といった理由により、バランスシートに記載した簿価で土地を処分できないため、バランスシートの作成目的を達成できなくなります。

 

 また、時価の場合はローンを組んだ直後に、債務超過になる場合があります。しかし、家計の場合は企業と異なり、債務超過であってもすぐに破綻しません。むしろ債務超過であることを知り、健全化を図ることが大切なのです。

土地の評価方法

 最後に、家計のバランスシート作成時における、土地価格の評価方法をまとめます。必ずしも今回紹介する方法で評価する必要はありません。

 例えば、計算するのがめんどくさい人は取得額でもかまいません。

 しかし、前述のとおり、家計というのは国家が破綻したとしても家族がいる限り継続する必要があります。継続を前提に安全側の評価をするためにも時価での評価をおすすめします。 

 

 次の評価方法で、実勢価格に近い価格を算出します。複数の方法を採用sルウ場合は、最も低い結果をバランスシートに記載すれば、安全側の評価が可能となります。 

  • 固定資産税評価額÷0.7
  • 路線価÷0.8 

 公示地価というものもありますが、これは地域の代表点のみで評価が行われていうますので、路線価や固定資産税評価額を使用しています。

 路線価も土地の形状など様々な要素で、加減が行われます。例えば、角地には加算があるなど。

 また、固定資産税評価額は3年に一度しか算出されません。この辺りの理解も必要となります。

 

計算例

 我が家の場合の計算例です。

 固定資産税課税明細書によると、土地の評価額は850万円。

  850万円÷0.7=1,215万円 

 路線価の方はというと、

  1015万円÷0.8=1,270万円

  となり、バランスシートへの記載は1215万円となりました。

 

 検証のため、国土交通省 土地総合情報システムで確認した周辺の土地の取引事例による単価で算出すると、我が家の場合、

 1300万円〜1420万円となりました。

 ここから仲介手数料などが引かれることを考えると、1215万円は適正な評価といえそうです。