複利効果とはべき乗効果
複利効果の概要
複利効果とは、貯蓄による金利や運用で得た配当などを、ふたたび投資しその利息がさらに利息を生んでふくらんでいく効果のことです。
複利の反対は単利で、金利や配当を現金のままにしておき元本にしか金利が付かないことです。
簡単に言うと、複利は元本100万円で運用している5%の金融商品を100万円購入しそのままほったらかしておき、単利は配当がつくたびにおろして使ってしまうイメージです。
複利効果と単利の事例
単利と複利の実際の差を元本100万円を運用利回り5%の金融商品で運用した場合では次のような差がうまれます。 (元本の変動はないものとします)
それぞれの年数での差を見ると10年で約10%で13万円の差だったのものが、30年目では73%まで差が広がり金額では182万円になります。
つまり複利による投資は長期であれば長期であるほど効果が得られるということです。
運用方法 | 初年度 | 1年目 | 10年目 | 20年目 | 30年目 | |
---|---|---|---|---|---|---|
複利(再投資) | 100万円 | 105 | 163 | 265 | 432 | |
単利(現金化) | 100万円 | 105 | 150 | 200 | 250 | |
内訳 | (投資している資産) | (100万円) | (100) | (100) | (100) | (100) |
(現金化した資産) | (0万円) | (5) | (50) | (100) | (150) | |
差 | 万円 | 0 | 13 | 65 | 182 | |
% | 0% | 9% | 33% | 73% |
複利効果と「べき乗効果」
複利の計算は利回りが5%であれば、1年後には資産が1.05倍になりますので、10年後までの計算は
元本×1.05(1年目)×1.05(2年目)×1.05(3年目)・・・×1.05(10年目)
つまり
元本×1.05の10乗=元本×1.63 となります。
20年後は
元本×1.63×1.63=元本×2.65 とどんどん膨れあがります。このように同じ数字を何回もかけていることを「べき乗」または「累乗」といい数式は利回りを「r」運用年数を「n」とすると
となります。この式からわかることは金利 r と 運用年数 n が大きければ大きいほど効果は大きくなるということです。
金利が3%と1%の場合、運用結果の差は次のようになります。金利が1%上がることにどんどん曲線は右肩上がりになります。たとえば仮に10%の商品があったとすると、30年後には1750万円ほどになることになります。
極端な例もいれましたが、複利での運用は金利が高いほど、そして期間が長いほどべき乗効果によりより高い利益を得ることができます。
そしてもし定期預金で運用しようとすると、最近の金利0.1%で運用した場合には、30年後でも103万円にしかなりません。
資産が2倍になる年数を求める簡単な式
長期運用でリタイア時には資産を2倍にしたい、元本が下落しても長期的に取り戻したいとった場合に2倍になる年数を計算しました。
1%の場合は約70年、2%の場合は約35年、3%の場合は約23年、5%で約14年、10%の場合は約10年となります。
これらからわかるのが次の数式です。
70÷(金利%)=(複利運用で資産が倍になる年数)
となります。簡便式ですが、対数による正確な計算とほぼ一緒になります。
ドルコスト平均法と複利効果をセットで考える必要性
複利効果が必要な理由
ドルコスト平均法で運用する場合には、必ず複利効果とセットで運用する必要があると考えています。
理由はドルコスト平均法で運用した場合、長期運用で平均取得額は平準化されますので、利益が生じやすいですが、高掴みした時の資産は配当や金利がなければ、永久に損失が生じたままとなるためです。
高掴みの例
J−REITを基準指数とする投資信託にドルコスト平均法で投資した場合を例とすると、本指数は2007年5月に2,636.23の最高値をつけました。
しか2007年の金融危機、2008年のリーマンショックで大きく下落し、2012年のアベノミクス開始後もその数値を超えたことはなく、2016年(平成28年)8月末の数値は1,871.77と0.71倍まで下落しています。
(東証REIT指数の月足チャート)
たとえドルコスト平均法で運用し、2008年以降安値で購入し利益が発生したとしても2007年に購入した資産は、REITの分配金がなければ、損失を抱えたままとなります。
9年前と比べて0.71倍になったREITが配当による複利効果でプラスになるためには、REITの利回りが仮に3.5%とすると10年でプラスに転じます。
もちろんその間も安値で購入した資産も複利で運用できているわけで、ドルコスト平均法では安定して金利、分配金や配当金が得られる資産に投資することで大きなリターンが得られることがわかります。