投資を行うにおいて必ず理解する必要があるのがリスクです。今回はそのリスクの基礎的な知識について書いていきます。
リスクとは
リスクとは何か?
リスクは標準偏差で表され、ある期間内のの「平均リターン(年率)」から「年次リターンなど」がどの程度離れているかを求めたものになります。
リスクが高い程、得られるリターンのぶれが大きくなることになります。
例を挙げると、年率10%のリターンが期待できる2つのファンドにおいて、Aはリスク5%、Bは10%であったとすると、将来のリターンはAは10%により近く、Bは10%から大きく乖離する可能性があります。このBの乖離は、より高いリターンを得られる場合とより悪いリターンを得られる場合があります。
リスクが生じる要因
投資信託を例にとってリスクを考えると次のようなものが価格が下落する要因となります。(引用:投資信託の投信資料館)
日々感じるリスクとしては、価格変動リスク、為替リスクがありますが、その他にも様々な要因によりリスクが発生していることがわかります。
価格変動リスク
組入証券の価格変動により、投資信託の基準価額が影響を受けるリスク。
流動性リスク
組入れ証券の流動性悪化により、容易に売却できなくなったり、相当悪い価格でないと売却できなくなったりするケースです。また、組み入れを予定している証券の入手が困難となったり、高い値段でないと買えないということも流動性リスクに含まれます。
信用リスク
組み入れた証券を発行した会社が倒産するなどして債務不履行に陥って利金収入が滞ったり、元本が返済されなかったりするリスクです。
カントリーリスク
発展途上国などに投資した場合には、その国が政治的・経済的要因からデフォルト(債務不履行)に陥る危険性が高くなります。90年代には、タイ、韓国、インドネシアの金融システムが連続して破綻したことからカントリーリスクへの対応が重要視されています。
為替リスク
海外資産に投資する投資信託において、為替レートが変動することによって、基準価額が影響を受けるリスク。一般に為替変動は大きいためこれを回避するためには為替ヘッジといったリスク軽減手法がありますが、手数料がかかるなどメリットデメリットがあります。
リスクの使い方
標準偏差とは
リスク=標準偏差となります。標準偏差とは、ある期間内(例えば5年間とか)のファンドの平均リターンから各リターン(年次リターンなど)がどの程度離れているかを数値(%)で表したものになります。
この数値が高いほど、ぶれが大きくなります。例えばリターンが同じく10%の2つのファンドであっても、標準偏差が大きいほど結果は、期待リターンが(10%)から乖離した結果となる可能性が高くなります。
リスクが高くなることで、良い結果となる場合もあれば、より悪い結果となる場合もあり、リスク=標準偏差が高いからといって、必ず悪い結果が生まれるわけではありません。
リスク(標準偏差)とリターンの乖離の確率
では、リスクとリターンの乖離の結果がどのような結果で生まれるのかというと。毎年のリターンが正規分布であると仮定すると、1年後のリターンのぶれ(乖離)は
- リスクのプラスマイナス1倍の範囲に入る確率=68.2%
- リスクのプラスマイナス2倍の範囲に入る確率=95.4%
- リスクのプラスマイナス3倍の範囲に入る確率=99.8%
となります。100%に近い確率でリスク3倍の範囲に収まるので、これを超えるリスクについては考える必要がないといえます。
(出展:正規分布 - Wikipedia)
リスク19%ってどのくらい危険なのか?
n年間運用した場合、リターンのn乗(べき乗)で増大し、リスクは√n(nの0.5乗)で増大していきます。
どちらも増大するのですが、増大のペースが異なります。
例えば、S&P500の過去30年のリターンは約9%、リスクは19%になっています(円ベース、配当込み)。
リスクという数字がよく勘違いされるのは、リターンよりリスクが大きい場合です。リスクをよく知らない人は「リスクのほうが大きいと損をする」と思われるようです。
確かに損をする可能性も上がりますが、10年間といった長期にわたり運用した場合のリスク、リターンの増え方は、
リターン 1.09^10=237%
リスク 0.19*√10=60%
となります。
一般にリスク資産では、リターンの増え方はリスクの増え方より早くなります。
100万円のをSP500指数に10年間投資した場合、10年後の各ケース別の計算結果は、
+2σ:357万円、+1σ:297万円、±0σ:237万円、-1σ:177万円、-2σ:117万円となりました。
(計算は√(ルート)T倍法で行っています→ルートT倍法による運用結果の将来シミュレーション方法 〜投資に使える計算式〜 - ほったらかし投資の達人)
期待リターンが237万円と倍以上となっており、悪いケースである-2σであってもプラス運用となりました。
グラフにすると次のようになります。
(リターン9%、リスク19%、投資期間10年)
しかし投資期間が5年の場合はリスクが大きくなり下のグラフのようにマイナスとなるケースが多くなってきます。
(リターン9%、リスク19%、投資期間5年)
以上より投資期間が長くなるほどリターンほどリスクが増大しないため実質的に軽減されることがわかります。長期投資を行う人はそれほどリスクをよく知って、結果を把握することでリスクとうまく付き合うことができると言えます。
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