リターンとリスクを使って正規分布に従った乱数を発生させる
リターンとリスクを使った計算の第6弾として、エクセルでリターンとリスク(標準偏差)を使った正規分布を作成する方法を紹介します。
【第1弾】リターンの計算方法
【第2弾】リスクの計算方法
【第3弾】エクセルでリターンとリスクを計算する方法
3分でわかる!リターンとリスクの計算方法 〜エクセルで計算編〜
【第4弾】スマホの電卓でもできちゃう簡単な積立計算の方法
3分でわかる!リターンを使った定額積立投資の運用結果の計算式!
【第5弾】ルートT倍法を使った定額積立投資の計算方法
用意するリターンとリスクは年率か月率
計算に利用するリターンとリスクは年率か月率です。下の図はひふみプラスのパフォーマンスです(18年10月5日現在)(出典:ひふみプラス | 投資信託 | 楽天証券)
過去5年で見ると、リターンの年率は19.04% 、リスクは18.28%となります。
月率の場合は上記数字から計算できます。計算方法はルートT倍法による運用結果の将来シミュレーション方法 〜投資に使える計算式〜で紹介した方法を参考にしてください。計算自体は簡単です。
今回はわかりやくするために、過去の運用成績が
リターン5%、リスクを10%
となる投資信託があると仮定して進めます。
リターンとリスクに従った正規分布を作成する関数
Excel関数については、下の「Excelを使った正規分布する乱数の生成」を参考にしました。
使用するExcel関数は2つです。
・NORMINV関数またはNORM.INV関数
・RAND関数
この二つの組み合わせで簡単に正規分布を使い、リターンとリスクに従った投資予測ができます。
そもそも投資信託のリターンとリスクは正規分布なの?という疑問を持たれた方は下のリンク先の記事をご覧ください。S&P500指数が正規分布に従うのかを検証した記事です。
NORMINV関数またはNORM.INV関数の使い方
現在は互換性の問題からNORM.INVを使うことが多いようですが、今回は慣れているNORMINV関数で説明します。
この関数は
「指定した平均と標準偏差に対する正規分布の累積分布関数の逆関数の値」
を返してくれます。
具体的には
=NORM.INV(確率、平均(リターン)、標準偏差(リスク))
リターン5%、リスク10%、下位からの累積確率84.2%(+1σ相当)とすると
=NORM.INV(0.842,5,10)= 15.0
という結果になります。(NORMINV関数でも同じ使い方です。)
つまり、1年後に84.2%の確率で15%のリターン下回り、15.8%の確率で15%を上回るリターンが得られるということになります。
RAND関数
次に使うのは乱数を発生させるRAND関数です。
=RAND()
といたってシンプルな使い方で、かっこの中に引数は不要です。
これにより0から1の間の数字をランダムに発生させることができます。
仮に計算すると「0.442044206550051」という結果が出ました。
このような乱数が計算をするたびに発生させることができます。
2つの関数を組み合わせて正規分布を作成
次にNORM.INV関数とRAND関数を組み合わせて正規分布を作ります。
組み合わせ方は簡単で、RAND関数をNORM.INV関数で使う確率の引数の部分に入れるだけです。
=NORM.INV(RAND()、平均(リターン)、標準偏差(リスク))
となります。
リターン5%、リスク10%であれば、
=NORM.INV(RAND()、5、10)となります。
この計算を10回、100回、1000回、と繰り返しグラフにプロットすると正規分布に従う運用結果の集団を作ることができます。
参考にリターン0%、リスク1%で計算した時の結果を載せておきます。
青線が理論上の正規分布、赤線がこの関数を使って作った正規分布です。ほとんど重なっているので正規分布を正しく作ることができたとわかります。